この時期、横浜の中華街では、上海ガニをメインの食材にして構成された上海ガニコースを提供してる店が数多くあります。
おそらく横浜だけでなく、神戸とか長崎あたりの中華街でもそのような傾向があるのではないでしょうか(この時期、神戸・長崎に行ったことないので不明ですが・・・)冬前のいわゆる晩秋の季節、中国では旬の上海ガニを食べる習慣が、昔からあるみたいです。
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ここ、庄内地方では上海ガニの親戚というか、兄弟というか、ほぼ上海ガニなんですけど、
モクズガニという川ガニが豊富に生息しておりまして、私はそのモクズガニ漁を裏稼業として、営んでおります。裏稼業と言っても正式に最上川での鑑札を持っております。
モクズガニを獲った後は、最上川の独特の匂いを消すため、井戸水に飼いならして臭みを取る、
いわゆる「泥抜き」というプロセスが必要です。
水をマメに変えたり、餌を与えたり色々と世話をするのですが、毎日、毎日、世話をしてると愛着が芽生えてしまい、まるでペットでも買ってるような
感覚になってきます。
可愛さがエスカレートしてきます。
もう犬、猫、ハムスター、インコ、熱帯魚などと同格の、ペット感覚に仕上がってしまいました。
端的に言って、エモいのです。
エモいので、カニを食材として見ることが出来ません。これまでカニを売ったり、友人知人に提供してるのですが、いざ食べる立場になると、食欲が失せてしまう自分がいます。
絶品の味覚と知ってるのに、遠ざけてしまいます。
でも私はモクズガニを商品として提供する立場であるが故、食べた事がないというのは、あるまじき事態なのです。
頭では理解してます。
理屈は解ります。
売る側の立場として商品の味を理解してないなんて許されない事です。
でもエモいんです(笑)。
感情、愛情、慈悲の心は、理論・理屈や正論を凌駕してしまいます。
ジレンマに陥り、葛藤すること、
約2か月・・・・・
ようやく食べる事を決心しました。
正確にいうと、食べる事を練習する。
という表現が適切なのかもしれませんが・・・・・
何事も練習です。
まずモクズガニの苦痛を最大限抑えるため、氷水に30分漬けて動けなくします。
動きが止まったら、カニの脳を〆ます。
一見、残酷に見えますが、瞬殺した方が苦痛が少ないのです。
必殺仕事人のように口から脳を直撃します。
(私は涙目・・・)
次に、川の汚れが付着してるのでブラシで洗います。裏表、足の付け根など、キレイにします。
鍋に入れて塩をお好みで入れます。私は大さじ2杯くらい。必ず冷水から茹でます。茹で時間は沸騰してから中火で20分くらいです。
茹で上がると赤くなります。
この状態で中華街の上海ガニは2,000円以上するんですよ。
私は300円~500円で売ってます(笑)。
カニミソは、まるでウニのような絶品の味覚でした。
昆布ポン酢をかけると最強の味覚ですが、
実際、食べるところは少なく手間暇かかるモクズガニでした。
~GOOD LUCK STREAM~